道路や広場を整備し、駅前を歩行者中心の空間に!北区が進める王子駅周辺まちづくりについて聞いてきました/北区拠点まちづくり担当課(東京都)
東京23区の北部に位置する北区では、2025年1月現在も人口が増えている。その人気を牽引するのは、洋紙発祥の地として発展し、渋沢栄一が居を構えた場所でもある「王子」駅の周辺エリアだ。同エリアでは現在、30年計画の大規模なまちづくりが進んでいる。今回は北区役所を訪問し、北区拠点まちづくり担当課、課長の佐々木さんと主任の佐々木さんに、まちづくりの現状とめざす将来像などを伺った。

老朽化した北区役所の庁舎の移転・建て替えを機に、周辺の整備を検討
――王子駅周辺でのまちづくりの概要や経緯についてお聞かせください。
佐々木課長:今回のまちづくりのきっかけは区役所庁舎の移転です。北区の庁舎は23区の区役所で最も築年数が古いとも言われており、阪神淡路大震災の頃から老朽化が指摘されていました。

佐々木課長:長期にわたって議論を続けるなかで、2017(平成29)年に、「王子」駅の東側にある「国立印刷局 王子工場」の用地を3分の1ほど取得する協定を結び、そこに庁舎を建て替えることが決まりました。

佐々木課長:区役所の移転に合わせるかたちで、周辺のまちづくりも一体となって進めていくことになり、同年7月には「王子駅周辺まちづくりグランドデザイン」で総合的なまちづくりの指針を示しました。2023(令和5)年3月には、「王子駅周辺まちづくりガイドライン」を策定し、より具体的なまちづくりの検討を進めているところです。

佐々木課長:2023(令和5)年度には「王子共創会議」を立ち上げ、事業者や行政機関に加え、町会や商店会といった地元団体、まちづくりの専門家らとの会議をこれまでに2回行っています。これとは別に、2025(令和7)年1月には、より短いスパンで駅前空間や公園等の活用に取り組む「エリアプラットフォーム」という組織ができました。
来年度以降はこの「王子共創会議」と「エリアプラットフォーム」の両輪で、情報発信や機運醸成を図りながら未来のビジョンを描いていきます。

――グランドデザインでは、まちの特徴を【東京の北の拠点】【交流の場】【自然・文化・歴史資源が豊かなまち】の3点に整理されていますね。地理的な特徴などを踏まえ、現在の王子の特徴をお聞かせください。
佐々木課長:王子は、洋紙発祥の地として日本の近代化を支えるとともに、さまざまな交通機能が発展してきました。崖線に沿って在来線、新幹線、都電と3本の鉄道路線が走り、地下鉄との乗り換えもできる利便性が魅力です。バス路線も充実しているうえ、首都高の出入口があってマイカーの利用も便利です。そのエリア特性を踏まえて【東京の北の拠点】と位置付けました。
佐々木課長:駅前の「飛鳥山公園」は、「上野公園」などと併せて日本で最初の都市公園のひとつで、江戸時代から交流の場でした。今でも働く人や花見客など多くの人が集まるエリアですので、【交流の場】としての魅力を充実させていきたいと考えています。
佐々木課長:北区は南北に細長く、中央を南北に走る崖に沿って京浜東北線が通っていて、東西が低地と武蔵野台地である高台に分かれています。これが地理的な特徴で、王子もそうです。西の高台側は緑豊かで、歴史的スポットが多くあります。渋沢栄一の関連史跡や3つの博物館がある「飛鳥山公園」は、区外からも訪れる方が多い重要な観光資源ですし、地名の由来になった「王子神社」もあります。

佐々木課長:醸造試験所の跡地は公園になっていて、国の重要文化財であるレンガ造りの建物も残っていますし、川沿いにも緑が広がっています。まさに【自然・文化・歴史資源が豊かなまち】ですね。

まちの将来像は「東京の北の交流拠点 水と緑豊かな王子」
――まちの将来像として「東京の北の交流拠点 水と緑豊かな王子」を据えられているかと思います。これに込めた意味をお聞かせください。
佐々木課長:交通の拠点・にぎわいの拠点としてまちを盛り上げ、石神井川と飛鳥山の魅力をさらに高めるという意味で、まちづくりのテーマを集約しました。例えば東京の南部の品川などは、開発が盛んで人も集まっていますよね。でも、王子にも交通結節点として高いポテンシャルがあり、多方面から多くの人が訪れます。また、豊かな水と緑に恵まれた自然環境を都市開発と両立できることは実に王子らしいと考えました。この将来像には、そうした想いが込められています。

――まちづくりの基本方針として、【交通拠点機能の強化】【にぎわいと活力の創出】【自然・文化・歴史資源の活用】【防災性の向上】を挙げられていますね。これら4つの方針について、それぞれお聞かせください。
佐々木課長:まずは【交通拠点機能の強化】ですね。先ほど申し上げたように、「王子」駅周辺には多くの交通機能が集積していて便利な一方で、崖線や幹線道路で街が分断され、駅周辺をスムーズに行き来できない点が課題です。こうした状況を改善するため、駅前広場の再整備や乗り換え動線のバリアフリー化、幹線道路を円滑に横断できるルートの確保などを検討しています。「王子」駅を最寄り駅とする地域は広く、豊島地域など東側から駅に向かう方々にも使いやすい駅前を作りたいと考えています。

佐々木課長:また、「王子」駅は利用者数の割に商業施設やオフィスの数が少ないので、北本通りを中心に【にぎわいと活力の創出】につなげられればと思います。
【自然・文化・歴史資源の活用】については、飛鳥山の緑や桜などが見えずらい低地側が課題となっています。こちらは石神井川に親水性を持たせて憩いの空間を作り、低地側にも豊かな緑を広げていきたいと考えています。
佐々木課長:防災面の課題も、このまちづくりで克服していきます。東の低地側には木造住宅が密集するエリアがあり、火災などが懸念されます。駅から非常に近いにもかかわらず石神井川と首都高で分断されている地域でもあるので、防災に取り組むと同時に分断を取り払って行き来しやすくする予定です。
もうひとつは水害対策です。石神井川や荒川の氾濫に備え、「飛鳥山公園」など高台へのスムーズな避難という観点からも【防災性の向上】に取り組んでいきます。

北区役所の新庁舎は2033年度頃の開庁をめざして整備予定
――王子駅の東側を中心に、年月をかけて段階的にまちづくりのエリアを拡大されるようですね。区役所の新庁舎建設なども含め、現時点での整備予定などをお聞かせください。
佐々木課長:およそ30年を計画期間とし、短期(約10年)、中期(約20年)、長期(約30年)に分けて大まかなスケジュールを組んでいます。
新庁舎が建設される王子駅中央口付近、国立印刷局王子工場、王子駅前公園などを含む範囲を先行実施地区(下図赤枠部分)として、まちづくりを進めています。先行実施地区はおおむね15年間で整備していく予定で、10年目となる2033(令和15)年度頃に新庁舎の開庁をめざしています。

佐々木課長:それに合わせて周辺の道路などを整備していくイメージで、周辺での開発も同じようなスケジュール感で進んでいくことになるでしょう。具体的な整備時期についてはこれからの議論になりますが、どのようにまちが変わっていくか、なるべく早くみなさんにお伝えしたいです。
――今回の整備について、区民の方からの期待の声などがあればお聞かせください。
佐々木課長:新庁舎と駅前の民間街区から生まれる活気、北本通りの再編によるにぎわいの波及を期待する声が寄せられています。具体的には、新庁舎については低層部をどんな風に使うかさまざまなご要望をいただいていますし、「大きなショッピングセンターができたらうれしい」「石神井川の下流側をきれいにしてほしい」といった意見もいただいています。

交通利便性が高く、水と緑が豊か 落ち着いた住宅街も魅力の王子エリア
――区から見た王子駅周辺エリアの住環境の魅力についてお聞かせください。
佐々木課長:まず、交通結節機能が高く利便性が良いこと。そして都心から少し離れていて「飛鳥山公園」や石神井川など豊かな自然があり、歴史的資源も豊富にあること。いいとこ取りのエリアだと思います。「飛鳥山公園」には最近おしゃれなレストランができたので、ぜひ足を運んでいただきたいですね。旧醸造試験所ではお酒のイベントが開催されることもありますし、日常の中でたくさんの楽しみと出会えるエリアではないでしょうか。

佐々木課長:王子の良さは駅前だけではありません。豊島の辺りは隅田川と「王子」駅に挟まれた落ち着いた住宅地です。官公庁、学校、ハローワークなども近く、豊島中央通りは活気のある商店街です。また、北区は学校の建て替えやリノベーションに23区の中でも割と早く取り組んできました。王子の小中学校もキレイに整備されていますよ。
――これから王子駅周辺エリアに住みたいという方々に向けて一言お願いいたします。
佐々木課長:王子には、交通利便性も、豊かな自然も、歴史的資源も備わっています。ただ回遊性や駅前空間の問題があり、恵まれた環境を活かし切れていません。しかしこの100年に1度のプロジェクトで、そこをしっかり変えていきます。防災性や景観の向上も行います。ポテンシャルは高いので、大いに期待してほしいです。また、街づくりが進めば王子に移り住む方が増え、新旧の住民が混ざり合って新しいコミュニティも生まれることでしょう。ハード面だけでなく、そうしたソフト面でも期待感が持てるようなまちづくりをしていけたらなと思います。

東京都北区役所
拠点まちづくり担当部 拠点まちづくり担当課
課長 佐々木さん(右)、主任 佐々木さん(左)
所在地:東京都北区王子本町1-15-22
電話番号:03-3908-7186
FAX:03-3908-1276
URL:https://www.city.kita.tokyo.jp/
※この情報は2025(令和7)年1月時点のものです。
道路や広場を整備し、駅前を歩行者中心の空間に!北区が進める王子駅周辺まちづくりについて聞いてきました/北区拠点まちづくり担当課(東京都)
所在地:東京都北区王子本町1-15-22
電話番号:03-3908-1111
開庁時間:8:30~17:00
閉庁日:土・日曜日、祝日、年末年始(12/29~1/3)
https://www.city.kita.tokyo.jp/







